空手の練習場所で公共施設、例えば学校の体育館を使用していると、体育館なので床には色々なラインが引かれています。
バレーボールコートのライン、バドミントンコートのライン、バスケットボールコートのラインなどなど。
練習時、これら各種ラインを利用しサーキット・トレーニングを行ったり、ミット練習を行ったりしますが、バスケットボールのラインにはサークル(円)のラインがあり、これを利用した独特の練習が出来ます。
サークル(円)を使う練習なので「サークル・トレーニング」。
ステップの練習でも、道場の床に直径1メートルくらいのサークルを描きやりますね。ステップを使ってサークルに入らないよう左右に動き、次の段階では、それに攻撃や反撃を入れるという練習。
今回のやつは、ステップもそうですが、バスケットボールコートのフリースローサークルを利用しているので、さらに大きなサークル(普通は直径3.6メートルなのですが、小学校のものなのでどうでしょう?計ってはいないです)なので、間合いや距離感や技の取捨選択など、色々な技術練習に使いました。
バスケットボールコートだと、中央にセンターサークルというものがあるのですが、学校の体育館なので、バレーボールやバドミントンのネット支柱を入れる穴があります。
もちろん、蓋付きなのですが、空手の練習は「摺り足」を多く使うので、練習時は「この上にはいかないように」と注意しています。指とか怪我する原因になるので。
なので、センターサークルではなく、フリースローラインのサークルを使います。
デ、
サークルの中で練習をするのですが、何をするのかといえば、基本的には自由攻防練習をおこないます。
ルールは、サークルから出たら負け。
対戦相手次第で、さらにルールを分けます。
同スキル者同士なら、いくら効かせようが、技ありとろうが、サークルから出た方が負けで、サークルから出る回数も1回から複数回と状況に応じて変化させます。
基本、強弱を決めるスパーリングではありません。
スキルが違う者同士なら、スキルが上の者にハンデを与えます。
使っていい技を限定します。突きだけとか。
スキル差がとても大きな場合は、スキルが上のものは受けるだけ。とか。
この練習の目的は、まず、下がらない動きを身に付けること。
なので、軸をしっかりと作らないといけません。また、しっかりと下半身で踏ん張らないといけません。かといって、腰を深く落としすぎると動いた相手にバランスを崩されサークルから出されるので、自然体で踏ん張らなければなりません。
こういう基本的な身体操作を身に付けさせるための練習です。
サークルのラインを意識しておかないと、今自分がどの位置にいて、ラインまでどれくらいの距離があるか、この位置でどういう攻撃が有効か、またもらってはいけないか、多くのことを意識して実践して動かなければいけません。
なかなか難しいです(笑)
まっすぐ下がればラインから出る。では、どうやってラインから出ないように位置を変えるか?
サイドに回り込まなければいけないわけですが、そのためには、相手の圧力をコントロールし、タイミング、決断力を使い、一気に動かなければなりません。
主に、初級者対象の練習ですが、中級者や上級者でも、これがなかなか大変。
相撲に似ていますが、押したらダメなわけで、空手の技を出しつつ、サークルから出ないように、相手を、技を使ってサークルから出さなければらないわけで、ヘッドワークも必要になってきます。
そんな感じでサークル・トレーニング開始!
μとタクミの時は、スキル差が相当あるので、タクミは受けだけです。
μはなんでもあり!
そんなμ、タクミに対し、ヘッドワークを使った連続技を出してました(笑)
μはなんでもありなので、左ハイを蹴ります。もちろん、タクミはしっかりとガード。
蹴り足を下ろし、突きを数発出した後、μは同じ動作で左の蹴りを出します。
これが、左ミドル(笑)
タクミは、直前の左ハイのイメージがあるので、まず上段をガードし、そのあと右膝を上げアウトローやミドルに対処できるようなガードをするのですが、既にμの左ミドルはヒット。
セオリー通りだよ、μ!
左ミドルを決めたい時の鉄板コンビ。
μはそんなこと知らないで出していたはずですが、もろに引っかかったタクミに爆笑です。
そして、左ミドルの蹴り足を戻して即切り返しの右ミドル。
ハリウッドスターには出来ない(笑)
今度はタクミもミドルの意識あるので、しっかりとガード。
μが色々な蹴り技を出してくるのがわかったタクミ、左右どちらの蹴りでも対処できるよう身構えます。
なんせ、タクミは受けだけ。
μの凄いところは、左右の蹴りを出して(それも上と中にわけて)、タクミの左右に対処できる構えを見て、空いてる箇所を迷わず攻めたところ。
そうです。
真ん中が空いています。
躊躇なく膝蹴りです(笑)
μすごすぎ!
タクミも、「お、そうくるか」とステップ使って動きだしました。
この二人の場合は、スキル差があるので、サークル・トレーニングというよりも、μの自由練習に近かったです。
そんなタクミですが、ゲンキと対戦。
画像の通り、この日はタクミはパンチング・グローブではなく拳サポーターです。
大リーグボール養成ギブスを外した状態(笑)
グローブの重さと大きさというハンデがないので、もう下突きがバクバク入ります。
ゲンキ相当効かされていました。
思い切りいくときはテイクバックしちゃうのですが、内側から鋭く出すので決まります。
グローブだと、途中で相手の手に当たり、なかなかジャストミートしなかった。
拳サポで軽くなた分、相手をよく見て、途中でタイミングを変えても打っていました。
ローだと脛サポーターを付けていても、足なのでボスッという音が出たりしますが、突きで、それもレバー打ちでボスッという音を立ててヒットさせるタクミ。
そりゃ、ゲンキ効く。
引き手のフォームも、グローブだと重くて床と平行になったりしていましたが、拳サポだと、しっかりと右肘を立てて中段ガードを意識しつつレバー打ち。
縦拳でも下突きでも、しっかりとしたフォームです。
そんなタクミとゲンキですが、あとで再び対戦です。
でも、こんなんだから困ります(笑)
わかりますかね?
開始時と終了時の位置が違う(笑)
頼むよ!
そりゃ、井上雄一朗も、
「タクミ・・・あっちだったよね」
と。
そんなゲンキはユメトともやっています。
スキル差あるので、ユメトは突きだけというルール。
そんな中、
ゲンキがハリウッドスターは絶対出来ない連続技出してました。
ゲンキはユメトにアウトローを出します。
ユメトは左膝を右にふってブロック。
アウトローが「当たらない」と判断したゲンキ、途中で蹴るのやめます。
出している技を途中でやめるの難しいです。エムが得意でした。
相手をよく見ている証拠で、無駄蹴りをしないゲンキのセンスを感じます。
蹴るのをやめた蹴り足を下ろしたら、即切り返しの右ローを出すゲンキ。
蹴るのを止める判断をした時から右を出すことを決めていないとできない動きです。
ユメトも膝ブロックで反応しているのですが、アウトローは蹴っていないのでゲンキの動作の方が早く、右ローを中途半端に上げた足にもらってしまいます。
これがハリウッドスターには出来ません(笑)
いやマジで。
もう、相手ガードしてるんだから、そこで蹴っても意味ないだろう!
ってな時でも平気で蹴ります。
そして、しっかりとブロックされ、自分はバランスを崩し、相手のペースになります。
頼むよ!ハリウッドスター!
そんで、
シンノスケ。
スキルがまだないので、フォームであるとかは粗く、でもこれは練習していればしっかりとした身体操作が出来るようになるので全然問題にしてないです。
そんな粗いシンノスケがヘッドワークを使ってサークル・トレーニングしてます。
まだフォームが出来ていないので、腕を目一杯伸ばしてテイクバックしていますが、井上雄一朗や私もそうだったので、これくらい力一杯な体勢の方がいいと、この時期は「OKOK」なシンノスケ。
ここから、振り打ちぎみにタクミに突きをだします。
さらに続けます。
三連続でやったのですが、この三回目、今まで外側から振り打ちぎみに出していた突きを、下突きに変化させます!
外→外→内。
この変化は意識してやっています。
このあとも、同じような攻撃していました。
なんとか突きを当てようと、自分で考えて動いてる証拠です。
また、武蔵ヶ丘道場や代継橋道場の練習などで、自分よりスキルが上の道場生を対象とした練習時に井上雄一朗が指導している内容を聞いている証拠でもあります。
この動きはよかったよシンノスケ。
ヘッドワークを使ってたの、ケイゴも含め誰もいなかったからね。
シンノスケだけ(笑)
つうか、
このサークル・トレーニングの目的、ルールを一番理解しているのはシンノスケだけだったりします。
ええ。
シンノスケは、まだスキルがないので、対人練習時も、自分が打ちやすい、蹴りやすい間合いになるため、自分から下がっていたのですが、そうすると相手は出てくるわけで、打ちたい蹴りたいけど自分の間合いを潰され、逆に相手の間合いになり、相手の突きや蹴りをもらっていました。
そのシンノスケに、下がらないということはどういうことか?
というのを身を以て感じてもらうための練習でもあったわけで、サークルから出ると負けなので、自分から下がることはなくなり、ラインとの距離を確認し、しっかりと踏ん張るようになりました。
そして、しっかりと立つと、相手と拮抗し、そこから技を出さなければならないわけで、その間合いでの攻防、また自分から下がらず相手と拮抗することにより、相手の攻撃も潰してしまう、ということを理解したみたいです。
タクミは、ゲンキとやった時にイケイケドンドンでいき、ボディを相当効かせたのですが、サークル・トレーニングの意味をイマイチ理解していなかったので、ラインとの距離感、どこで体を入れ替えるかなど考えていなかったので、ささいなゲンキの攻撃からライン外に出てしまい、結果負け。
空手のスキル差はタクミとシンノスケでありますが、ヘッドワークという点では、シンノスケが考えて動いてる分サークル・トレーニングの結果を出しているわけで、タクミの課題は、不用意に下がらない、自分の位置、相手の位置の把握なのですが、最近、段々と理解しているみたいです(笑)
上の連続画像は、ラインを意識したシンノスケの動きです。
大きな動きですが、体を入れ替えた時、ゲンキは前蹴りで反撃しますが、完全にゲンキのサイドに入っているのでゲンキの前蹴りは空を切っています。
ラインとの距離感は、一瞬の隙をついて、目視するシンノスケ。
目視するのシンノスケだけだもんなぁ。
状況把握の大切さをよく知ってるわ。
ここで書いたタクミなりゲンキなりシンノスケは、まだ一年生なので、要は、拳をしっかりと握り、両足で踏ん張って立ち、自由攻防の時は力一杯技を出し、相手の攻撃はしっかりと受ける、という基本的なことだけ練習すればOKです。はい。
そして、基本動作のドリル練習や、こういった制限状況での自由攻防で、基礎を身に付けよう!
基礎練習方法はたくさんあります。
しっかりと、基礎の基礎の基礎を身に付け、仮に空手以外のことをやっても、すんなりと出来るよう頑張ろう!
さらに高度な、中級者や上級者のサークル・トレーニングの内容は、ヒ・ミ・ツ(笑)
あ、ハリウッドスターにさせなきゃなぁ・・・
最後に、タクミでも見てみる。
この日は3月16日水曜日。
ってなことで。