12月2日(土)に大分県別府市の別府アリーナで開催された「第9回一進会杯争奪西日本空手道選手権大会」「第8回紅拳士全日本空手道選手権大会」のビデオを見ていたら、なるほどなぁと思う場面があったので記事を投稿しています。
別府アリーナは素晴らしい体育館で、ジョイントマットも常備してあるし、折りたたみイスは軽くてたくさんあるし、パーテーションもあるので試合場の区切りも簡単でいいとこずくしな体育館なのですが駐車場だけが難点、とは過去記事に書いて、錬志会館の三浦館長も館長日記に同じようなことを書かれていて、この駐車場が混雑して大変!ってのは4月の統一全日本時に三浦館長からお聞きした話だったので、さもありなんと納得。
そんなことはどうでもよくて、「第9回一進会杯争奪西日本空手道選手権大会」での一コマを。
今回の大会は、「第9回一進会杯争奪西日本空手道選手権大会」と「第8回紅拳士全日本空手道選手権大会」が同日開催されたため、つまり二つの大会が同じ日に同じ会場で開催されたという意味ですが、総勢600名近くの選手が参加している大規模な大会でもあります。
試合場(試合コート)は組手、型を含め7つあります。
ジョイントマットの試合場が5つと畳敷きの試合場が2つだったと記憶しています。
それぞれに審判団2ペア、スタッフがいるので大きな別府アリーナが小さく感じるくらいです。
ジョイントマットの試合場は一目でわかります。畳敷きの試合場は、向かって右奥と最後尾の試合場です。
ジョイントマットも畳もそうなのですが、複数枚のジョイントマットなり畳を敷き詰めて試合場を設営します。JKJOルールの規定面積を満たした試合場ですね。
複数のジョイントマットなり畳を敷き詰めているので、試合中や試合後には「隙間」が出来たりします。
これが危ない。
どう危ないかというと、足の指を挟んだりします。そして選手は試合中動いているので挟んだ足を捻ったりして最悪骨折したりします。
最近は常設道場ならジョイントマット、武道場を借りているなら柔道場で稽古を行うため、板張りでの稽古というのは体育館での稽古くらいしかないと思います。
板張りならこういう心配はいらないですね。
でも無茶苦茶古い体育館だと板目が裂けていたりしてもっと危険だったり。
かつて、ある国立大学の古い古い体育館で稽古をしていたのですが、その体育館がコンクリートの上の板張りで、かつ当時の私の年齢よりも絶対古い建物だったので危険きわまりない場所でした(笑)
井上雄一朗も稽古したことある場所なのですが「ほげている箇所おぼえましたよ」とよく言っていました。「ほげる」とは熊本弁(九州弁)で「穴があいている」という意味です。
スパーリングとかやっていると、途中で変な動きになるんですが、みんな「ほげている箇所」を覚えているので無意識に体が避けるために変化しているんですよ。全員変則的な動きで笑いました(笑)
そんなこともどうでもよくて、ジョイントマットにしろ畳にしろ「隙間」があって、そこに足の指が入った時は最悪骨折の危険性があるので、「隙間」を見つけたら即隙間を無くすことが必要です。
試合中でなくても稽古中でもそうですね。
井上雄一朗は稽古中に、移動稽古時と話していましたがジョイントマットの隙間に足の指を挟んで、挟んだまま「まわって~」の号令とともに回転したら、挟んだ指はそのまま体だけ回転し、つまり、挟んだ足の指は固定されたまま支点となり体を回転させたわけですが「グリッ!」と、そういう感触があったそうです。
足の指を見ると、真紫色に変化していて「ぷしゅ~」と萎えたそうです。指導中なのでそのまま続けましたがあれにはビックリしました、と。
その話を聞いた俺がビックリしたよ!
というように、ジョイントマットでも畳でも「隙間」は危険です。
見逃しやすい点ですが、これはどこの道場でも指導者は注意している点だと思います。
そういう小さいことですが、結果が甚大になるような点を疎かにしている指導者の下で稽古しているとしたならば、これは、うちの先生経験値少ないんだな、と思ってよろしいかと。
私は安全保障に関する仕事にたずさわってきたので、「未然に防ぐ」という点を第一としています。井上雄一朗もそうです。次に「事が起こった場合の処置」になります。プライオリティからいえば、「未然に防ぐ」ことが第一です。
なんでもそうですね。
火災予防、交通事故予防、風邪予防、まず「未然に防ぐ」ことから始まります。そして防げればそれでいいわけです。物事に絶対はないので、結果として事が起こってしまっても、事が起こった場合の処置を的確に行えば最小限で押さえることが出来ます。
プライオリティは未然の防止が第一ですが、シナリオは常に最悪の場合を想定して設定するので、どんな場合にも対応できるプランを持ち、かつ実践できることが大切。
というようなことをやってきたのですが、別に物事すべてに通じることであって、これは特別なことでもなんでもないですね。書きながらそう思いました。
当たり前のことを当たり前にやればいいだけだな、と。
そして、この当たり前のことを当たり前にやることほど難しいこともないわけで(笑)
話題がそれましたが、「第9回一進会杯争奪西日本空手道選手権大会」の男子小学6年生の部で、この「未然に防ぐ」という行為がありました。
まーくんこと将弥の試合中です。
試合場はBコート。秋岡塾秋岡塾長が主審な審判団と錬志会館三浦館長が主審な審判団がペアの試合場です。
本戦引き分けで延長戦になりますが、将弥が大きなフェイスガードをしていて、タオルを入れているのですが試合中にタオルがずれてきたので延長戦に入る前に秋岡塾長がフェイスガードの再装着を命じます。
最初、むち打ち症のギブスをした選手が試合やってるなぁ・・・将弥じゃねぇかよ!
と引っ繰り返って見ていたのですが、将弥がフェイスガードを再装着する間、秋岡塾長がナイスな腰使いでキュッキュッと動き出します。
なんの稽古なんだろう?
と思っていたら、本戦で出来た畳の隙間を詰めている動作なんですね。
副審も含め全員で、途中からはペア審判団の三浦館長も参加して審判団全員でキュッキュッと畳の隙間を詰めています。
試合に埋もれたささいな光景なんですが、これ、主審副審を含めた審判団の先生方が危険性を熟知しているからこその光景ですね。
アクシデント防止の光景です。
そういう観点で、この時、この光景を見ていた関係者はどれだけいたのでしょうか?
畳に隙間が出来たから見栄えが悪いから直しているわけではなく、これは甚大なアクシデントに繋がる小さな「点」だから直しているんですね。
試合を応援していた父兄や道場生は見逃しちゃったかなぁ。
それはそれで是非もないのですが、少なくとも空手関係者は、試合中でもそういう観点は忘れてもらいたくないですねぇ。
試合に負けることは勝負なので仕方のないことですが、アクシデントで棄権とかだと、もう不運というか可哀想になります。
なぜならば、少なくとも、ジョイントマットや畳の隙間に足を取られ負傷した場合は、それは「未然に防ぐことができること」だからです。
副審よりも主審の責任ですね。
主審というのは、試合をコントロールするだけではなく、そういう点も含めトータルに状況把握をする立場と思います。
それだけ大変って意味です。
それでも物事には絶対ということはないので、一瞬でジョイントマットや畳に隙間ができて足を取られる可能性もあるわけで、もうそれは不運以外言いようがないです。はい。
危険というものは、常に顔を出しているわけではなく、突然やってきて突然去る性格をしています。
常に最悪のシナリオを想定し、楽観的に事にあたるのが基本なのかなぁと思ったり。
大会は選手が主役であるならば、バックアップする側は、最高の舞台を、上に書いてきたような観点も含め最高の舞台を用意したいものですね。
そして、そういう観点の光景が垣間見れた今回の大会は、素晴らしものだったと感じます。
ささいなことの中にこそ、意味あることがあるんですよね。
それにしても別府は寒かったです。
なんか井上道場Tipsらしからぬ記事でしたね。
おかしいなぁ・・・もっとネタ的に書くつもりだったのに。
ってなことで。