懸垂!の巻

懸垂チック水曜日は戸島教室と武蔵ヶ丘道場(南ヶ丘小学校)の稽古日。

お天気は悪く、雨、雨、雨な熊本なのでありました。

戸島教室では、道場生の保護者も一緒に練習しています。準備運動のストレッチから軽い基本、軽い移動、ミット稽古、そして補強までやります。

稽古納め恒例のスパーリングにも参加したりして、なんやかんやで体力が付いていたりします。

そんな戸島教室の稽古も終わり、武蔵ヶ丘道場へ移動するのですが、この日のミット係は、入門した際「女の子が入門か」と思ってしまったリョウト(男の子)と最年少のユウキ。

戸島教室一の身体能力のあるリョウトですが、最初はどう見ても女の子にしか見えなくて「え?男の子なの?マジで?」と信じられませんでした。

いつも困ったような顔をしているのですが、腕立て伏せなんか、ちゃんと肘を深く曲げてきっちりとやります。たまに号令をはしょったりして、なかなかあなどれません(笑)

ユウキは、年長さんですが、戸島教室随一の地声の持ち主で、高学年もいるのですが、彼らよりも大きい声を出します。戸島教室のムードメーカーで、ユウキが稽古していると、シンドイ稽古も乗り切れるから不思議だ。

そういうものを持っている子です。

そしてユウキママは、おそらく井上道場一番の天然ぶりで、ハリウッドスターを超えたかもしれない逸材(笑)

リョウト ユウキ

戸島教室から武蔵ヶ丘道場(南ヶ丘小学校)へ移動し到着すると、ケイゴとタクミ兄弟が、嵐のように走り回っていました。

「アップはいらないなぁ・・・」

ミット稽古で腕と足、具体的には上腕三頭筋と大腿四頭筋を効かせ(直突きと前蹴りで)、その状態で最後の補強です(笑)

じゃんけん補強。

勝った人だけナシで、負けた人、あいこの人はやるパターン。あいこの人だけやるパターンと色々変化を付けてやります。

その前に、とりあえず全員で腕立て伏せとジャンピングスクワットだけはやる。じゃんけん補強で一回もやらない人がいる場合を想定して。

既に腕と足が効いているので、ある意味自分との戦いなじゃんけん補強です。1セット10回なのですが、この10回ってのが曲者(笑)

最後の2、3回が連続してやると効きます。

ケイゴ弟のタクミは、年中さんで、いまいち仕組みがわかっていません。ケイゴが隣で「たっくん負けたからやるんだよ」とか「たっくん勝ったからやらなくていいんだよ」とか声をかけていますが、タクミはそんなケイゴに構わずやったりやらなかったり(笑)

ケイゴ、大変だよねぇ。

でも、ついこの間まで、ケイゴもそうだった(笑)

稽古終了

稽古が終わり掃除も終わり、着替えてあとは帰るだけになったのですが、稽古場所は小学校の体育館なので「肋木」があります。

「肋木」って読めますか?

英語だと「Wall Bars」になります。

直訳すると「壁の棒」。複数形なので単独の「棒」ではありませんが、日本語の特長として単数と複数をあまりわけないってのがあるので「棒」ってしてます。

「肋木」は「ろくぼく」と読みます。

現役小学生や体育教諭等の専門家だと知っているのかな?

「ああ、ろくぼく!」となつかしく思い出されるはず。

どこにでもある体育用具ですね。体育館だけではなく野外(運動場)には鉄製のものがあったりします。

こういうやつです。

ろくぼく

稽古後、なぜか「ろくぼく」にぶらさがる道場生。

「懸垂やってみ」の井上雄一朗の声に「けんすいってなぁに?」とケイゴ。

言うと思った!

こうやる運動と教えると挑戦していたケイゴですが、みんな懸垂下手でした。

「肋木」は遊戯用具ではなく、歴とした体育用具、体操用具でスウェーデン体操の代表的な補助器具でもあります。

スウェーデン体操というのは、解剖学、生理学、物理学的見地から合理的な体力養成運動を目指し創始された徒手体操で、オリンピックの器械体操とかはドイツ体操の流れ。

柔軟性を目的とした体操はデンマーク体操ですね。

上記三つがいわゆる「世界三大体操」です。

今ではそれぞれの差異はないそうなのですが、日本には最初にドイツ体操が入り、その後スウェーデン体操が入り学校体操教授要目になり普及しました。

戦前の話です。

その後、色々長所が取り入れられ差異がなくなっていったのですが、やはり日本人なら体操といえば「ラジオ体操!」ですね(笑)

ちゃんとやれば、いい運動になります。

そんなことはどうでもよくて、この「ろくぼく」はスウェーデン体操の補助用具なので、正式な使い方は、おそらく誰も知らない(笑)

器械体操の選手など、ある一定のレベルの運動選手が使いこなす用具だそうです。

懸垂・柔軟・平均運動が出来る。

けれども指導者が少ないので、昇り降り、横への動きなど遊戯器具として使われている。

なるほど。

なので、井上雄一朗が「懸垂!」と言ったのは、ちゃんとした使い方になっていたりします(笑)

あとでヒカリに「ろくぼく」での腹筋運動を教えましたが、自重運動とはいえ、結構きつかったみたいです。

懸垂がなかなか出来ないので、ヘルプ(補助者が運動者の両足に力を加えてあげる)して懸垂やってました。高級ジムとかにいくと、これが自動なマシンとかあります。

エアで調節するんですよね。

左でヒカリを補助する井上雄一朗 補助

ヒカリとユウキはちゃんと補助されていましたが、末弟のショウヘイは、懸垂できないと激痛が走る補助されてましたね(笑)

そして、そんなショウヘイは稽古の最初から最後まで、休憩になると、誰彼となく「ユウスケ君は?今日ユウスケ君は?」と聞きまくり。

おまえはユウスケの恋人か!

ショウヘイピンチ!

何が凄いって、ケイゴの弟タクミは、「ろくぼく」をスルスルと昇ると、そのまま「ろくぼく」の上まで昇っていました。

普通、高いところって恐怖心あるだろうに・・・

ケイゴの弟だけある。

そして、ケイゴには「片手で懸垂やれるか?」と聞くと「片手って?」と返してきたので「こうやる」と見本を示すと、「うりゃ!」とやってました(笑)

ケイゴの片手懸垂

「これ、きつい!」とケイゴ。

そりゃきついサ!

自重運動(自分の体重を使う運動)は、小学生には一番いい運動ですね。

のぼり棒、うんてい、ろくぼく、握力や腹筋背筋、足の筋力、バランス良く鍛えることができます。

少なくとも井上雄一朗や私の世代は、既にテレビもあり、ゲームは途中からでしたが、こういう運動で基礎体力を養ってきました。

遊びながら体力を付けるってのが、一番有効なんですよね。

運動が苦手な子も、遊びながら基礎体力を付けていたわけですが、環境の変化というのは生活習慣すら変えるわけで、現在は現在の環境、習慣にあったやり方を行わなければならないと思うと、夏目漱石の『草枕』は明治39年の作品ですが、基本的には変わっていないんだなと。

智(ち)に働けば角(かど)が立つ。情(じょう)に棹(さお)させば流される。意地を通(とお)せば窮屈(きゅうくつ)だ。とかくに人の世は住みにくい

ってなことで。


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